妻の妊娠をキッカケに出産や育児に関する書籍を読む機会がとても多くなりました。そのなかで妻から紹介されて読んだのが「透明なゆりかご」です。
それまでいくつか読んできてはいましたが、この本に書いてある現実はとても考えさせる内容であり、出産から育児に対する価値観の変化をもたらしてくれた書籍の1冊だと思います。
今回は「透明なゆりかご」の紹介をしていきたいと思います。
あらすじ
産婦人科医院の日常はすべてが「幸せ」で終わることはない。
準看護学科に通う高校生時代の作者が、見習いとして産婦人科医院にバイトとして勤務します。初めは責任の伴わない処理などを行なっていきますが、産婦人科は人手が足りない事が多いためいつしか出産の現場に立ち入るようになっていきます。
産婦人科医院での出産はすべてが笑顔で終わりません。いくつもの出産を経験していくうちに妊娠がすべて幸せではないことも知っていきます。出産をとりまく「光と影」をバイトという第三者目線で描かれています。
望まれなかった子供、虐待される子供、生まれる事が叶わなかった子供。こんな「透明な子供」を知ることが「親」になる上での覚悟の1つと知る事ができる物語です。
透明なゆりかごの紹介
- 作者:沖田×華
- 2018年7月にNHKでテレビドラマ化
ドラマ化していたんですね。知らなかった。
この話は産婦人科の光と深い闇が包み隠さず描かれています。これは1巻の作者のコメントにも記載されています。
「以前から病院を舞台にした物語に違和感がありました。私が経験した真実に近い物語を描いていきます。」
このように真実が描かれています。出産の失敗で命を落とす現場や産む事が困難と判断され消されてしまう子供の命などが描かれており、改めて出産の「奇跡」を感じさせる内容になっています。
親になる前の男性に知ってもらいたい現実
厚労省から発表された2017年人口動態統計で、男女あわせた死亡原因をみると
- 悪性新生物(癌)
- 心疾患
- 脳血管疾患
となっています。この話は90年代となっていますが、この順位に大きな差はありません。しかし、産婦人科医師から最初に言われる死亡原因の1位は
「人工妊娠中絶」
になるようです。これは作者が最初にみた現実として描かれています。中絶で亡くなった子供は火葬されているようですが、悲しんでいる人は誰でしょう。
このほかにも緊急帝王切開でも死産になってしまったケースなども描かれています。必ずしも絶対がない世界だという事を知っておくことも大切だと感じるでしょう。
親になった男性に知ってもらいたい現実
透明なゆりかごは産婦人科に関わる話だけではありません。
作者の友達が過去に受けていた虐待と、その子の成長などもしっかり描かれています。
最近は特に虐待のニュースが多くて、日々テレビを見ていると悲しい気持ちになります。出産は奇跡の連続です。虐待に至る過程は知る由もありませんが、少なくとも奇跡を歩んできた子供が「透明な子供」になるのだけは避けてほしいと切に願います。
さいごに
なんども書きましたが、子供を授かる事は「奇跡」だと思います。
これから父親になる人には、ぜひ「影」の部分も知ってほしいと思います。全てが笑顔で終わらないんだと、だからこそ感謝してともに生きていかなければならないのだと。そう感じられたら紹介してよかったと思います。
今回は父親になった私が影響を受けた「透明なゆりかご」を紹介しました。